長時間労働の結果、脳出血で倒れ5800万円を獲得した事例(交渉から訴訟を経て解決まで約2年半)
- 事案内容
- 依頼者(40代、男性)は、食品の運送会社の低温倉庫で倉庫内作業に従事していましたが、人手不足等の理由により、毎月80時間を超える残業をするほどの長時間労働となっていました。そのような中で勤務中に脳出血を発症して、左上下肢に麻痺が残り、後遺障害級5級の認定を受けた事案
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- 交渉の経過
- 直近の一定期間で月に平均80時間以上の残業を行っていたことから、厚生労働省の定めた基準により、依頼者は労災認定を受けていました。そのため、長時間労働が脳出血を発症させた直接的原因であり、長時間労働を抑制しなかったことに安全配慮義務違反があるとして、会社に対し、損害賠償を求める内容証明郵便を送付しました。会社側は、交渉に応じる姿勢は見せつつも、具体的な主張や提案をしてこなかったことから、訴訟に踏み切りました。訴訟提起においては、長時間労働を余儀なくさせる業務体制をとっていたことについて、会社の社長にも責任があるとして、会社と連帯して損害を賠償するように請求しました。
訴訟では、会社側は、長時間労働を抑制しようとしていたが依頼者が進んで長時間働いていたこと、依頼者の生活習慣や健康診断結果などから脳出血と長時間労働に因果関係がないなどと主張してきました。
これに対し、会社の人員配置等や業務量から依頼者が長時間労働をせざるを得なかったこと、労働基準監督署による調査結果等からして脳出血と長時間労働の因果関係は疑いがないことなどを主張しました。また、依頼者の生活習慣や発症前の健康状態等から、脳出血の発症に依頼者の素因がどれだけ影響しているかも議論になりました。
裁判所は、長時間労働が引き金となって脳出血が生じたことを前提に、双方に和解の検討を指示し、最終的に解決金5800万円の支払を受けるという内容で和解が成立しました。
- 弁護士からのコメント
- 長時間労働により脳や心臓の疾患を発症したとされる事案では、厚生労働省の定めた基準を上回って労災認定されるか否かが重要になります。今回の事案では、厚生労働省の定めた基準はクリアしていたものの、車いす生活になった依頼者の逸失利益や将来介護費などにより賠償額が極めて多額になったため、会社側は、裁判所から強く求められるまで支払う決断ができなかったものと思われます。そのため、裁判にもつれ込みましたが、金額的に納得できる水準で和解をすることができました。
工事作業中の事故で約2500万円を獲得した事例(交渉から解決まで5カ月)
- 事案内容
- 依頼者(40代、男性)が鍛冶工として、大規模トンネル工事で作業を行っていたところ、仮設置されていた鉄筋が突然倒れてその下敷きになり、第12胸椎圧迫骨折等の傷害を負い、その結果、後遺障害7級の認定を受けた事案
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- 交渉の経過
- 依頼を受け、元請及び下請等の関係者すべてに対して、損害賠償請求を行ったところ、元請が代表して交渉にあたることになりました。
そこで、今回の労災事故は仮設置していた鉄筋の倒壊を引き起こした下請、及びその現場管理を怠った元請の責任であることを追及しました。
これに対し、元請は、依頼者にも作業手順を誤った過失があると主張してきました。
そこで、こちらは発注者が所持している事故発生原因報告書等の資料を取り寄せ、同報告書に作業手順違反などの記載がないことを指摘して、元請の主張について反論しました。
以上の交渉の結果、最終的にはこちら側にとって有利な過失割合での話し合いがまとまり、労災保険金とは別に約2500万円の賠償金を獲得することができました。
- 弁護士からのコメント
- 今回の労災事故事案では、資金力が潤沢な元請事業者に責任を認めさせたことでスピード解決、かつ、高額な損害賠償が実現できました。また、その過程で事故発生原因報告書などを入手し、記載内容をもとに元請の主張に反論したことが効果的だったと思います。
依頼者も、思っていた以上の賠償額を取得できた喜んでおられました。
船舶の接触事故で約400万円を獲得した事例(交渉から解決まで7カ月)
- 事案内容
- 依頼者(50代、男性)が、港湾内で台船をタグボートにより曳航する作業中に、台船の側面に取り付いていたところ、タグボートが台船に接触し、依頼者の足が挟まれたため、左足骨折等の傷害を負い、後遺障害12級の認定を受けた事案
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- 交渉の経過
- 会社に対して、タグボートを操船していた従業員のミスを指摘した上で、使用者責任に基づく損害賠償請求を行う旨の内容証明郵便を送付しました。会社側は、当初、依頼者が不適切な場所にいたことに事故の最大の原因があると主張して、賠償責任を否定していました。
しかし、粘り強く交渉した結果、操船していた従業員のミスを認めさせ、解決金約400万円を得ることができました。
- 弁護士からのコメント
- 今回の労災事故では、依頼者にも危険な台船側面に留まっていたことについての過失があったことは認めざるをえません。しかし、直接の原因はタグボートを操船していた従業員のミスでした。
会社との交渉では、依頼者の過失割合をどの程度と考えるかについて検討を重ね、裁判を避けたいという依頼者の意向に沿いつつ、粘り強く交渉をした結果、和解に至ることができました。
工場内の高所からの転落事故で150万円を獲得した事例(交渉から解決まで5カ月)
- 事案内容
- 依頼者(30代、男性)が工場内で機械の操作中に2mを超える高所から床面に落下したため、右足踵骨骨折の傷害を負った事案
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- 交渉の経過
- 工場内の高所に機械を操作するための足場を設置しているにもかかわらず、転落防止の措置が不十分だったとして、会社に対し、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求を求める内容証明郵便を送付しました。会社側は、落下防止措置を施していたこと、落下は依頼者の不適切な行動が原因であることを主張して、解決金としてわずかな金額しか支払わないことを示唆しました。しかし、労働基準監督署の調査結果と依頼者の言い分を基に交渉した結果、解決金150万円を得ることができました。
- 弁護士からのコメント
- 今回の労災事故では、会社の設備に不備があったか否かと依頼者にも相応の過失があったかどうかが問題となりましたが、それらを踏まえて解決金を少しでも多く獲得できるように交渉しました。
なるべく早期に解決したいという依頼者の希望も踏まえつつ粘り強く交渉をした結果、150万円が解決金として支払われる内容の示談が成立しました。
研磨作業中の事故で合計200万円を獲得した事例(交渉から解決まで4カ月)
- 事案内容
- 依頼者(30代、男性)が研磨機の砥石の回転中、誤って右指を砥石に接触させてしまい右手指解放骨折等の傷害を負ったことにより、後遺障害14級の認定を受けた事案
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- 交渉の経過
- 会社に対して、会社の労働安全衛生法違反を指摘しつつ、損害賠償請求を行う旨の内容証明郵便を送付しました。会社の代表取締役は、当初、安全配慮義務違反がないとの主張をし、賠償責任を否定していました。しかし、労働基準監督署の調査結果等を証拠として、安全配慮義務違反が明らかであること、依頼者の被った損害が甚大であることの反論書を送付し、粘り強く交渉した結果、労働安全配慮義務違反を否定しつつも、解決金200万円の支払を提示してきました。
- 弁護士からのコメント
- 今回の労災事故の場合、依頼者にも相応の過失があったことは認めざるをえませんが、会社に全くの責任がないということはありませんでした。
会社は、形式の上では、安全配慮義務違反を最後まで否定していましたが、200万円の解決金を支払ったということは、実質的には責任を認めたということにほかなりません。
裁判を避けたいという依頼者の意向に沿いつつ、粘り強く交渉をした結果、示談が成立しました。
レジャー施設での塗装作業中にはしごが転倒して負傷した事案で270万円を獲得した事例(交渉から解決まで約7ヵ月)
- 事案内容
- 依頼者(60代、男性)が、アルバイト先のレジャー施設で休園中の保守作業として、柱をペンキで塗装する作業を行っていた際に、登っていたはしごが転倒して足首を骨折し、可動域の制限が残存したことから後遺障害第12級7号の認定を受けたという事案
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- 交渉の経過
- 当方は、柱は高さが約3メートルであったので、その上部を塗装するためには、はしごを用いるのではなく足場等を組むべき高所作業にあたること、はしご自体も立てかけられていた状況から不安定な状態にあったのに、はしごの下側を保持する補助者を置かずに作業していたことは安全配慮義務違反となることを主張し、会社側の責任を追及しました。
会社側はすぐに弁護士を付けたため、弁護士間での交渉となりましたが、当日の会社の指示内容から依頼者が勝手にこのような環境で作業を行ったのではないかと争いになり、双方の過失割合の協議が難航しました。
会社側も一定程度の過失を認め、過失割合を調整して、270万円の解決金で示談が成立することになりました。
- 弁護士からのコメント
- 会社による指示内容に争いがあり、依頼者の側にも過失が一定程度認められましたが、怪我の重大性等を考慮した解決金の額で示談をすることが出来ました。
トラックからの荷下ろし作業中に指を挟んで負傷した事案で労災申請を行い後遺障害等級14級が認定された事例(認定まで約3ヵ月)
- 事案内容
- 依頼者(30代、男性)が、倉庫でトラックからの荷下ろし作業中に、荷物で指を挟み人差し指を骨折し、治療後も指にしびれや痛みが残ったという事案
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- 申請の経過
- 会社は、治療等での労災の使用に関しては窓口となって手続きを行ってくれていましたが、治療が終わると、そういった協力は無くなりました。依頼者が後遺障害の申請をしたいと言っても、事故があったという事業主証明はしてあげるけれど書類の準備や手続きは自分でするように言われたため、弁護士に後遺障害等級認定申請を依頼することにしました。
依頼者と弁護士で協力して速やかに所定の書類を作り、会社に事業主証明をしてもらったうえで、労災申請をしました。
- 弁護士からのコメント
- すべて自分で手続きをすると手間がかかりますが、ご依頼いただき手続きを代行した結果、依頼者の手間を減らして申請を行い、後遺障害等級の認定を受けることができました。